残響
 
触れない過去に縋る夢 閉じきったままの掌
溶け出していった声に揺られて
幾千の夜を越えてゆく
 
これ以上何も 遺せない
 
雑ざれないままの夕立 明けぬ雨の中 色風
見知った景色に別れた日から
同じ時間の軸を行き交うだけ
 
穢された朝は 嘘を吐く
 
知らないふりして笑ってた
知らないふりして泣いてた
 
知らないふりして
知らないふり、して
 
しらないふり、して、 わかってた
 
written in 2012.07